菖蒲雛からの相談を受けているうち、私は彼女の性質や過去を知ることとなった。特に衝撃的だったのは両親に関してのことだろう。
 彼女には父母がおらず、祖父母に育てられていた。母親は出産時の大量出血によるショックでなくなっていた。しかし、父親のほうは過去に何があったのかはわからないが壮絶だった。彼女の家族では徹底的に父親の話を避けることで『おとうさん』という存在そのものを消していた。だからスゥちゃんは父親に会ったことがないどころか、何者でどういう人だったのかを知らない。興味はあったが、彼女の身の上を考えるとこちらからはとても質問する気に離れなかった。
 

名前:菖蒲雛
あだ名:スゥちゃん
性別:女
年齢(小説時点):12歳(1995.1生まれ)
趣味:読書、観劇
資産:約八万円
所属:中学校

≪経歴≫
2002.4:宵が丘小学校入学(アートイラストクラブ)
2008.3:宵が丘小学校卒業
2008.4:宵が丘中学校入学(演劇部、美術部を兼部。図書委員会所属)
―――
2011.3:宵が丘中学校卒業
2011.4:北桜高校入学(演劇部。図書委員所属)
2014.3:北桜高校卒業
2014.4:不明

≪家族構成≫
祖父:普段は優しいが時々癇癪を起し虐待に走ることがある。
祖母:上に同じ。

≪精神的特徴≫
思想:力ある者には従わなければならない。世の中は理不尽であり残酷である。
性格:少々引っ込み思案で社交性に欠ける。初対面の相手に対しては口数が少ないが、元来はしゃべりたがり屋。自虐的な面が目立ち、友達に心配されている。祖父母の暴力が元で本人も気づかないうちに、ぶつけようのない激しい怒りを内包している。
口癖・口調:目上に対しては敬語、同級生と話すときは特に特徴はない。一人称はわたし。
長所:人の心の動きを直感的に察知する。嘘をつくのが得意。演技力が高く、女優がするような魅力的な動作を一通り覚えている。
短所:他人の目を激しく気にしてしまい、とれなくなってしまうことがある。自信を喪失している。常に引っ込み思案。繊細で傷つきやすい。恋愛依存症
夢:父と会う
好きな言葉:信じれば必ず会える
好きなもの:花、本
好きな本:童話(特にシンデレラ)、恋愛小説、恋愛テクニック系、演技技術系
好きなテレビ:ドロドロの愛憎劇
好きな花:アマリリスフリージア
好きな色:赤
好きな人:おかあさん
好きなこと:演劇
好きな場所:図書館
嫌いなこと:暴力
嫌いな人:菖蒲雛
学力:国語5、美術・家庭科・音楽4、社会・理科・技術・英語3、体育・数学2 偏差値56
宗教:知らない
音楽:歌うのは好きだが自信がないためにカラオケにはいかない。図書館でオーケストラをよく聴く。アニメ曲等は祖父母から禁止されている。
小説・雑誌:恋愛小説に傾倒している。雑誌は読まない。
ネットやゲーム:祖父母に禁止されている。
交友関係:おもに学内のみ。大勢の人がいる場所に行き、なんとなく混ざる。よって知り合いは多いが交友関係が深いのは一部に限る。

≪肉体的特徴≫
容姿:百人に一人の美少女。童顔だが鼻が高い。長い黒髪を持つ。
健康状態:眠りが浅く、寝不足が多い。
利き手:右手
視力:両目とも1.2以上
服装:不明
髪型:ロングヘア。見た目が重いのと手入れが大変なのが難点。
運動:人並み
所持品:ルビーのペンダント。折りたたみ式携帯電話(スマホは通信量の高さで祖父母に禁止された)

スゥちゃんから初めて相談されたのは文化祭前だった。確か部活終わりの別れ際だったような気がする。
 「文化祭で男装コンテストに出ることになったんですけど、学ランだけじゃ物足りないですよね?」
 気にするほどのことでもないような気もする。でも確かに男装コンテストで学ランはべた過ぎる気がする。何かもうひとひねりほしい。
 「コスプレ用の学生帽かぶれば?」
 彼女はいともあっさり納得し、「じゃあそうしますね」と去っていった。それだけだった。

 文化祭で私がスゥちゃんを見たのは演劇部の寸劇と、まるで下僕を見るような目で会場を見回す学ラン姿の彼女だけだった。劇の内容もコンテストの結果も覚えていないが、彼女の整った横顔と胸まで届く黒髪はやはり忘れることはなかった。

 一見どうでもいいような出来事だがこれがきっかけで私は菖蒲雛からよく相談を受けるようになった。

 スゥちゃんこと菖蒲雛と帰り道で話した普通の会話はもうほとんど覚えていない。ただ漠然と楽しかったという記憶だけが残っている。たしか学校での出来事とか、スゥちゃんの好きなマンガや携帯小説の話とかがメインだったはずだ。むしろ話を聞いているときに見るかわいい横顔と長い黒髪のほうが頭の中に残っている。
 私の楽しい会話の記憶が抜け落ちてしまった原因はというと、衝撃的な話や相談を受けたことがあまりにも多かったことに他ならない。スゥちゃんは私以上に奇怪だったのだ。
 まず第一にスゥちゃんは祖父母から虐待に近い仕打ちを受けていた。制服の袖がめくれるとき時々痣のようなものが認められたし、本人も祖父母から殴られたりしていると言っていた。自分のいない間に自分の部屋に親が入り込み、日記を見られる等日常茶飯事。どうやら彼女のご両親は娘が自分の思い通りに動かないと気が済まないらしい。
 そして彼女はそのストレスを発散するためか、中学生とは思えないほどの恋愛をしていた。携帯、パソコン、出会い系サイトなどを利用して数人同時につきあっていた。一人の彼氏につき二週間続けばいい方で、私が確認した中で最短記録は三日。男たらしと言われても仕方がないレベルだ。
 スゥちゃんとの会話は家族や学校の愚痴、彼氏についてのあれこれ、恋愛小説や漫画の感想が八割を占めていた。残りの二割くらいが普通の会話と言ったところか。

私の特に変わった友人について

 私が菖蒲雛と出会ったのは2008年4月、中学二年生時だ。多分、新一年生の美術部の借り入部の時が一番最初だったんだと思う。その時はまだを意識しておらず出会った覚えもない。でも会っていることは確かだった。
 私とスゥちゃんの関係はいわゆる先輩と後輩の関係だった。私が先輩、スゥちゃんが後輩。
 私は美術部内でただ一人孤立して黙々と作品を作ったり清掃に精を出していた。同級生の輪の中に入ることもできず、先輩方と話すこともできなかった。携帯ゲームにどっぷりはまっていたためにコミュニケーションが非常に不得意だったからだ。そんなこんなでだらだらと活動していたらいつの間にか二年生になっていた。
 だからこそ、新一年生の部員の中でただ一人教室の端で絵を描いていた彼女をほおっておけなかったのかもしれない。それとも後に文章でも絵でも執着することになる長い黒髪に魅せられたのか。とにかく私はありきたりな言葉で菖蒲雛に声をかけたのだ。
 「絵、上手だね。」
 彼女はひどく驚いた様子で「あっありがとうございます!」とワタワタしながら答えた。
 そのあとしばらく自己紹介やら雑談やらをした。確か、スゥちゃんというあだ名もここで覚えたはずだ。演劇部と美術部を兼部しているということも聞いた。初め、緊張していたスゥちゃんは自分か話題を振ることはなかった。口数も少なく、よく言えばおしとやか。悪く言えば内気と言った感じだ。そのために私は彼女が常に聴き手にまわるタイプだと思い込んだ。しかし、何度か部活で話すうちに、私の言葉に対するスゥちゃんの突っ込みや感想が多くなっていった。
 スゥちゃんは私に対して常に敬語を使っていた。建前の上で、だが。でも、小鳥のさえずりのようなソプラノの声で敬語を使われるのは決して悪い気分ではなかった。むしろ、スゥちゃんの話をもっと聴いていたいという気分になる。
 だから私が彼女と部活の度に家まで一緒に帰るようになるまでそんなに時間はかからなかった。

二頭身に初挑戦!!


←ルビー ↑スピネル →ルーニャ

 ぱこっち (id:sp2p)さんの助言をもとに描いてみた二頭身キャラです。とても絵が上手な方なのでこのブログを見る暇があったらぜひ見ていただきたいです。

URL
http://sp2p.hateblo.jp/

 今回は本などを参考にせず、ひたすらアドバイスだけを信じて何も見ず描いてみました(雑に)。いつも以上に色々乱れているのはそのためです。でも、他の作品と比べるとまだましな方です。ご了承ください。

 ちなみにスピネルは10分とかからずほぼ完成しました。いつもスピネル一人描くのに一時間以上取られているのに……。普段いかに筆を動かしていない時間や訂正の時間が長いのかよくわかりました。これからはもっとさらっと絵を描けるよう努力しなければ。

ルーニャさん

 またしてもマユさんに私のキャラを描いてもらってしまいました。本当に可愛く描けていてうれしい限りです。普段見られない服装や瞳の色、手のしぐさ等にも注目!
http://genshoku.hatenablog.com/entry/2014/06/13/191914
 
 せっかくなので私もルーニャさんの絵をアップ。マユさんの絵に比べると足元にも及ばないですが……。

 創作キャラのルーニャさんを改めて描いてみました。彼女の絵のほとんどが漫画の模写だったので、今回は漫画に頼らず(描き方本を参考に)描きました。こんな単調な絵で製作時間三時間以上。悲しくなります。

 ルーニャさんはオリキャラの中でもかなり気に入っている方です。うごくメモ帳時代の読者からの人気だけで言ったら、スピネルの足元にも及ばないという残酷な現実があるのですが……。